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転職活動中の方にも
いつかは転職したいとぼんやり考えている方にも
今の会社でがんばりたいと思っている方にも
知っていただきたい「ポータブルスキル」についてお伝えします。
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ポータブルスキルとは
厚生労働省の「ミドル層のキャリアチェンジにおける支援技法」によると、ポータブルスキルは下記のように定義されています。
定義
業種や職種が変わっても通用する、持ち出し可能な能力のこと。
「専門知識・専門技術」の他、「仕事のし方」(課題を明らかにする・計画を立てる・実行する)、「人との関わり方」(社内対応(上司・経営層)、社外対応(顧客、パートナー)、部下マネジメント(評価や指導))で構成。
出典: 厚生労働省の「ミドル層のキャリアチェンジにおける支援技法」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/career_formation/career_consulting/career_chenge/index.html
簡単に言うと「ポータブルスキル=持ち出し可能な能力」とは、HOW「どのように」の部分になります。どのように仕事に取り組んできたか、どのように人と接してきたのか、どのように自分と向き合ってきたのか、同じ仕事(WHAT)をしてきた人でも、取り組み方は千差万別です。ここにあなただけの強みやスキルが眠っているはずなのです。
逆に「持ち運びできないスキル」もあり、これらは「アンポータブルスキル」と呼ばれています。「アンポータブルスキル」は特定の会社や職種でしか使えない、技術的なスキルが該当します。
例えば私の場合、貿易事務員時代に使っていた汎用性の低い社内システムの使い方だったり、パティシエ時代に一生懸命磨いていた製菓技術のことです。その会社や職種で活躍していくには、とても大切で重要なスキルですが、残念ながら他の会社で活かせる可能性は低いスキルのことです。
専門性が高いということは、他の人にはない知識やスキルを持っているということです。他の人の知らない世界を知っていたり、他の人の知らない知識を持っているということは、希少価値も高いです。まずは、その「専門性を身につけてきた自分」に誇りに持って下さい。というのは、とても専門性が高いお仕事をされてきて「今までとは違う職種に挑戦したい」といった理由で転職活動をされている方とお話しをしていると、ご自身の専門性を過小評価していると感じるからです。同じよな専門性を持った同僚に囲まれていらっしゃるので、そのスキルや知識を持っていることは、当たり前のことのように感じるかもしれません。でも、世間一般に視野を広げてみると、その知識やスキルを持っていることは、とても希少価値があるので、他の人との差別化にも繋がります。専門性が高いということは、とても素晴らしいことです。
ただ確かに、WHAT「何をやってきたか」だけに注目すると、英語力やパソコンスキルなど、汎用的なハードスキルは身についていないかもしれません。今までやってきたことが、専門的過ぎて「本当に他の仕事ができるのだろうか?」と不安になるのも無理はありません。「今までの自分の経験が活かせない」とか「自分には何もスキルがない」とか「今の仕事は潰しが利かない」とか、今までのご自身の貴重な経験を、ネガティブに捉えている方が多いなと感じます。
逆に一般事務職の方、飲食業、販売業などの方からは「専門的な知識やスキルがない」「新しい仕事に挑戦する勇気が出ない」「自分のキャリアに自信が持てない」といったお悩みをよく聞きます。ポータブルスキルでいうと、WHAT「何をやってきたか」の部分は、「専門知識・専門技術」になります。WHAT「何をやってきたか」に専門性がなく、自信がないことを逆手に取ると「他の職種や業界でも活かせる可能性がある」と言えるかもしれません。例えば、飲食業や販売業の、顧客層が20代女性だった場合、顧客と接する中で、20代女性がどんなことに悩んでいたり、どんな消費傾向があるのか、今までの経験から知識として蓄積されているのではないでしょうか?。それは同じターゲット層を持つ、他の職種や業界でも活かせる、あなたの強みとなります。
「専門性が高すぎる」と感じている方、「専門性がない」と感じている方、どちらのパターンの方も、じっくりとお話を伺っていくと、必ずその方の強みになるポータブルスキルを持っていらっしゃいます。業務上で必要な知識やスキルを身につけるために努力されていたり、業務上で出会う大きな課題や小さな課題に、日々向き合っていたり、会社やお客様のお役に立てるようにどうすればいいか、試行錯誤を繰り返してきましたよね。その向き合い方や、解決方法は、それぞれの方がお持ちの強みや素質によって全く違います。それらにタイトルをつけたものが「ポータブルスキル」だと考えて下さい。
言葉の定義だけ聞いても、イメージが湧きずらいと思いますので、まずはポータブルスキルとは具体的にどんなスキルのことを指すのか、見ていきましょう。
参考
参考までに似たような言葉に「トランスファラブルスキル」「社会人基礎力」などがあります。今回は「ポータブルスキル」という言葉を使っていますが、大切なのは、言葉自体の定義ではなく、使っている言葉は何であれ、職種や業種に関わらず身につけることの出来る汎用性の高いスキルがある。ということです。誰でも持っているはずなので、ポータブルスキルに注目して、自分の新たな強みを見つけてみましょう!
ポータブルスキル一覧
ちなみに厚生労働省によるポータブルスキルの構成要素はこちら。
出典:JHR一般社団法人人材サービス産業協議会作成「ポータブルスキル活用研修」資料
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000091180.pdf)
【参考】ポータブルスキル セルフチェック(http://sp.j-hr.or.jp/)
構成要素が明確になっているので、とても参考になりますが、個人的には、結局どういうこと?という感じがします。上記の厚生労働省の資料を参考にしつつ、今までの経験や情報収集をし、独自のポータブルスキル一覧としてまとめたのが下記の一覧です。(今後もアップデートしていく予定です)
大分類 | スキル | 説明 |
仕事の仕方(対課題) | 課題発見力 | 現状を把握・分析し、問題を見つけていく力 |
論理的思考力 | 物事を体系的に整理し、筋道を立てて考える力 | |
スケジュール管理能力 | 何をいつやるか把握し、実行する能力 | |
計画立案力 | 課題に向けた解決プロセスを明らかにし、準備する力 | |
目標達成力 | 目標を設定しゴールに向かって取り組む力 | |
課題解決力 | 発生している問題を解決する力 | |
判断力 | 物事を正しく認識し、評価する力 | |
仕事の仕方(対自己) | ストレスマネジメント力 | ストレスを上手にコントロールする力 |
向上心 | 現在の状態に満足せず、よりよい状態を目指して努力する心 | |
行動力 | 目的のために積極的に行動する力 | |
実行力 | 目標に対する計画を設定し、計画を実行する力 | |
仕事の仕方(対人) | 調整力 | 様々な立場の人を取りまとめて、目的・目標を達成する力 |
対話力 | 会話を通じて合意を形成する能力 | |
関係構築力 | 社内外の相手と信頼し合える良好な関係を築く力 | |
傾聴力(ヒアリング力) | 相手の話に耳を傾け、真意を汲み取る力 | |
共感力 | 相手の立場や思いを理解することができる力 | |
質問力 | 必要なことを適切に問いかける力 | |
巻き込み力 | 周囲の人を動かして目的を達成する力 | |
文章力 | 相手が理解しやすい文章で伝えたいことを的確に表現する力 | |
プレゼンテーション能力 | 聞き手のニーズを汲み取りながら、伝えたいことを的確に伝える能力 | |
ファシリテーション力 | 会議やミーティングを円滑かつ効果的に進める力 | |
交渉力 | お互いの利害を調整し、意思決定を円滑に進める力 | |
その他のソフトスキル | 正確性 | 依頼されたお仕事を正確に処理する力 |
柔軟性 | 臨機応変に対応できる | |
スピーディーな対応力 | 迅速に業務を処理する力 | |
情報収集力 | 必要な情報を見極めて収集し、まとめる力 | |
分析力 | 情報やデータを分析し因果関係を明らかにする力 | |
言語化スキル | 頭の中で考えていることを、相手が理解しやすい表現で伝える力 | |
専門知識・専門技術 | 英語力・パソコンスキルなど | ※ここでは詳細は割愛 |
大切なのは、このワードを使うことではなく、このワードを元に手掛かりにご自身のスキルを言語化することになります。
具体的にどうやって言語化していくのか、一緒に見ていきましょう。
番外編 ~ポータブルスキルに関するよくある質問~
プレゼンテーション能力とプレゼンテーション力どちらがいいですか?
端的に言うと、どちらでも構いません。
日本語としておかしくなく、相手に伝わればいいの大丈夫です。正解不正解はないので、自分がしっくりくる表現が正解だと考えています。
「言語化スキル」と「文章力」のように似た言葉の使い分け方のコツはありますか?
「言語化スキル」と「文章力」のように似た意味の言葉の使い分けですが、言葉を扱う仕事でない限り、ひとつひとつの表現にこだわる必要はないと考えています。辞書で調べてみると、厳密には意味が違うかもしれません。ただ、言葉に抱く印象というのは、人それぞれ違います。採用担当者(もしくは求人広告作成者)が正しい定義してその言葉を使っているとは限りません。
ひとつポイントを伝えるとすれば、「自分の都合のいいように使う」というのが私の考えです。例えば、求人票に「文章力のある方」と書いてあったら、「文章力」という言葉を使う。その職種や求人で求められている能力を表す言葉を選択する。言葉にも適材適所がありますので、より適当な言葉を選択することで、採用担当者により「この人なら活躍してくれそう」という印象を抱いていただけるよう、最善の言葉を使っていきましょう。
ポータブルスキルの見つけ方
経験からポータブルスキルを見つける方法
- 今までやってきた業務ごとに「やりがいを感じた/一番頑張った」エピソードを挙げてみましょう。
- 今までやってきた業務ごとに「大きな失敗をした/一番大変だった」エピソードを挙げてみましょう。
- 上記のポータブルスキル一覧と見比べて、自分のどのスキルが発揮されてきたのか紐づけてみましょう。
ポータブルスキルから経験を引き出す方法
- まず、上記のポータブルスキル一覧のひとつひとつを見ながら、自分にはどのスキルがあるのか考えてみましょう。
「このスキル自分にはない」と思った場合でも「もし、自分にこのスキルがあるとしたら?」と仮定して今までの経験を振り返ってみて下さい。自分にはないと思っていたものでも、よくよく考えてみると、意外に今までの経験の中で使っているスキルがあるかもしれません。 - スキルを見つけたら、どんな具体的なエピソード(経験)がありそうか挙げてみましょう。
- エピソードを思い出したら、その結果どうなったのか、どんな変化が起きたのか、どんな実績につながったのか、挙げてみましょう。
これって実績と言えるかな?と疑問に思うことでも構いません。どんな些細なことでもいいので、まずは言語化してみましょう。
ここまでの下準備をしておくと、実際に応募したい求人を見つけた時に、とても役に立ちます。転職活動に必要なスキルの一つにレスポンスの早さがあります。良い求人を見つけたら、書類を準備してなるべく早めに応募しましょう。人気のある求人の場合、数日で応募が締め切られてしまいます。いつでもチャンスを掴めるように、キャリアの棚卸をしておくことが大切です。
転職活動での活かし方
実際に応募したい求人が見つかったら、まずは、応募する求人や応募する企業の分析をしましょう。下準備済みの今自分が持っているスキルの中で、このポジションで応用できそうなもの、企業側が求めているスキルは、どれなのか考えてみて下さい。その中から3つ程度を選んで、履歴書の志望動機、職務経歴書の職務要約・職務経歴・自己PRの欄に盛り込みましょう。
実際に、職務経歴書に記入する際に意識したいのが、具体的なエピソードや数字を添えること。営業職やマーケティング職など売り上げに直結するお仕事をされている方は、具体的な実績が数字になっていると思うので、分かりやすいと思います。逆に、事務職などバックオフィス(管理部門)の方は、見つけるのに一苦労されている印象です。そして「数字にして下さい」とお伝えすると、的外れな実績を数字として記載される方がいらっしゃいます。数字に出来ない場合は、無理やり数字にするのではなく、採用担当者がイメージしやすいように、お客様や上司からいただいた言葉など、具体的なエピソードを添える方が効果的です。
採用担当者に「経験はないけれど、活躍してくれそう」「再現性がありそう」と思ってもらうことができたら、書類通過や採用の確立が高くなることは間違いありません。
自分自身のことを客観的に見るのは、意外と難しいものです。キャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントなどキャリアのプロに相談することで、何時間もかけて見つからなかったものを、引き出してもらえる可能性があります。自分が出来ないことは、人に頼るという選択も必要ですね。
いつかは転職したい場合の活かし方
まだ具体的な転職活動をしていないのであれば、これから、ポータブルスキルを活かした実績を作って転職力を上げることが出来ます。
将来に向けて新しいポータブルスキルを身につける方法
- 今後希望する「職種名」「必要なスキル」で検索して、どんなスキルや知識が必要そうか洗い出してみましょう。
- 今の職場で、その「必要なスキル」を身につけるために、何ができるのか考えてみましょう。
- 今の職場や現職では、身につけられない知識やスキルがあった場合、どうやったら身につけられるか考えてみましょう。
- 自分の目指す業界・職種の知識や情報を、幅広く情報収集してみましょう。
もし、現職で身につけることが難しそうな専門知識や専門技術があった場合、身につけ方には、選択肢がいくつもあります。本を使った独学だけでなく、最近では、Youtubeにも専門的な情報提供をされている方がたくさんいらっしゃいます。まずは、無料で学んでみてから、より深く学びたいと思ったら、Udemy ・Schoo・Courseraなどのオンライン講座を活用することで、お仕事をしていても、隙間時間を使いながら、専門的な知識を学ぶことが出来ます。もっと本格的に、もっと専門的に学びたくなったら、ボランティアやプロボノで経験を積んだり、スキルアップの為に、スクールに通ってみるのも一つの手です。こうやって、少しずつステップアップすることで、未来の選択肢が広がるのではないでしょうか。
他にも、自分の目指す業界・職種の知識や情報を、幅広く情報収集することも大切です。例えば、業界内での課題は何か、業界内で伸びている注目企業はどこなのかが、業界のトレンドなど、新聞やWebで簡単に入手することが出来ます。調べる中で、求人情報を見つけたり、将来働いてみたい企業が見つかったり、やりたいことが明確になるかもしれません。
未経験からの転職の場合、ただ「やってみたい」「興味がある」「未経験だけどがんばります!」というだけでは説得力がありません。実際に、未経験の職業に挑戦する為に、どのような行動をとってきたのかが、合否に大きくかかわってきます。ポータブルスキルを磨くだけでなく、専門的な知識も並行して身につけていくことが大切です。
私の場合も「キャリアコンサルタント」としての経験はプロボノ(ボランティア)から始めました。その結果、面接では未経験者ではなく「経験者」として挑むことが出来ました。資格がないより資格があった方が有利なことは間違いありませんが、それだけでなく、ボランティア・アルバイト・派遣などで、短期間でも経験を積んでおくことで、経験値だけでなく、あなたの意欲や、新しい職種に挑戦したい気持ちの強さを伝えることが出来ます。
いつかは違う職種にチャレンジしたい気持ちがあるなら、チャンスが巡ってきた時、すぐ応募できるように、様々な側面から準備をしておけるといいですね。
今の職場での活かし方
一般的に「将来の為に、何かスキルを身につけたいな」と考えた時に、真っ先に思いつくのは、英語やwebデザインなどの、専門的なスキルだと思います。その場合、スクールに通ったり、勉強の時間を確保したりしなければならず「今すぐ必要なわけじゃないし、まあ、いいか」と先送りにしがちです。また、明確な目的がないので、せっかく投資しても途中で辞めたくなったり、そもそも、専門的なスキルを身につけたところで、将来活用できるかもわかりません。
今は、どんなスキルを身につけたいのか決まっていない、どんなスキルが自分に必要なのか分からない、勉強の時間を確保する時間がない、そんな方におススメしたいのが、日々の業務の中で身につけることの出来る、ポータブルスキルを身につける、という選択です。
今の職場でポータブルスキルを身につける方法
- ポータブルスキルの一覧を見て、それぞれのスキルを、どうしたら今の職場で身につけることが出来るか考えてみましょう。
- 日々の業務に付加価値をつけるために、ポータブルスキルを意識してみましょう。
- 「今はこのスキルを身につけよう!」と目標を設定してみましょう。
ポータブルスキルの一覧を見て、それぞれのスキルを、どうしたら今の職場で身につけることが出来るか考えてみましょう。ポータブルスキルを身につければ身につけるほど、特定の職種だけでなく、幅広い職種で活躍できる可能性が高まります。転職を考えていない場合でもポータブルスキルを身につけておくことで、部署異動や昇進した際にも、新しい環境への対応力が上がっていることは間違いありません。
転職に限らず、キャリアの選択肢を広げる上でも要となるのがポータブルスキルです。日々のタスクでも、何か新しいが業務を任される時も、ただただ言われたままにやるのではなく、より付加価値を提供するには、どうすればいいか?ポータブルスキルを念頭に置きながら考えてみると、今までとは違った仕事の仕方が思いつくかもしれません。
また、「今はこのスキルを身につけよう!」と目標を設定して仕事に取り組むこともおススメです。筋トレと同じでに鍛えるスキルを意識することで、同じ仕事をしていても、得られるものが全く変わってきます。また、捉え方を変えるだけで、本当はやりたくない「やらなきゃいけない仕事」が、「スキルを身につける為」に「やりたい仕事」に格上げされることもありますね。
あなたのフェーズに合わせて、ポータブルスキルを活用してみて下さいね!